ブラサバ
Apocalypse-10-


しばらく必死で走った。怪物は100mを走るのに10秒も掛からない模様だ。水が入ったチャムスギョまで来てやっと怪物の動きが鈍くなった。
「イ…イ…ウ…!ア…」
怪物はエヴァを見ながら変な音を出す。イヘジンを見た時と同じだ。エヴァは怖がりながらも怪物から目を離さない。
「安全な脱出のためには死んでもらうしかないね。捕まるのも困るしな。」
アレックスが銃を取り出して怪物の頭を狙った。フィオラがエヴァの目を覆う。
俺はエヴァの前に出た。飛ぶ血でも防ぐために。でもエヴァは俺とフィオラを押しのけ、怪物の前に立った。エヴァ?お前何をするんだ…?
「どいてくれ。それはウイルスを広めた怪物だぞ。」
フィオラが落ち着いた口調でなだめるように言った。エヴァはずっと怪物を見ている。
「イゥア!!!!」
銃声と同時に怪物がエヴァを押し倒した。怪物の背中に銃弾が当たってエヴァの白いワンピースに血が飛ぶ。
「裏切り者たちとスキュラを発見。」
銃を撃ったのはアイソルだった。
続いて怪物の足に矢が刺さる。怪物に視線を固定したまま歩いて来るイヘジンの前に、ジャッキーが笑いながら走ってくる。
それを見たフィオラが前方に掛け出した。彼女はジャッキーの胸の方にレイピアを突きながら叫んだ。
「ジャン・ヒョヌ、エヴァを守れ!アレックスは掩護してくれ!」
アレックスは待っていたかのように銃口をアイソルとイヘジンの方に向けて射撃を始めた。アイソルも迷いなく応射する。
イヘジンは他のひとは構わず弓弦を引っ張って怪物の頭を狙った。エヴァがまた怪物の前に立つとイヘジンは弓を捨てた。そのままイヘジンは歯を食いしばって走ってきては、エヴァの顔に拳を投げた。
「何するんだ!」
俺はイヘジンの手首を掴んだ。アイツは負傷した手を包帯で巻いていた。
「ウ…ウアアアアアアア!!!」
いきなり怪物が声を張り上げて再び立ち上がったと思ったら、あっという間にイヘジンの胸倉を掴んで、彼女を遠くまで投げてしまった。