ブラサバ
Apocalypse-12-


息が切れる。エヴァを抱えているからもっとキツイ。でも止まることはできない。
一緒に山を走って登っていたアレックスは火炎地雷を踏んでしまった。大怪我を負ったヤツを置いて行きたくなかった。しかしアレックスは[エレボス]という名前を覚えろと言いながら銃を振って見せては、隣の茂みに身を隠してしまった。弾丸もとっくに切れてるだろうに…投げつけでもするつもりだろうか。
「ヒョヌ…」
「もう少し待ってろ!すぐに治療してあげるから!」
「私…ちょっと降ろしてくれる?」
丁度ベンチが見えた。エヴァを降ろしてから見ると俺の体は自分の汗とエヴァの血でめちゃくちゃだった。
「私…ヨンビンに会ったの。」
「は?」
「何か間違ってるみたいだったけど…確かにヨンビンだった。」
その言葉を聞いてやっとエヴァの行動が理解できた。スキュラは本当に人間だったのか。
「包帯もちゃんとしてあげられなかったのに…一緒にヨンビンを探してくれるって言ってくれて…本当にありがとう。」
エヴァが俺の手をぎゅっと握った。目には涙があふれている。
「そして…ごめんね。」
急に体が痺れる感覚を感じる。視界がぼやけていきながら頭と背中が痛い。エヴァ…これは…一体…?
「お陰で手間を省いたわ。よくできました。エヴァちゃん。」
最後に聞こえたのはジャッキーの声だった。
ー完ー