ブラサバ
Apocalypse-8-


いつの間にか大通りを歩いていた。エヴァは先から口を利かない。
「ジャン・ヒョヌ!」
向こうからフィオラとイヘジンが走ってくる。
「幸い無事だったようだな。隣は誰だ?」
「今が2019年なのは知っているのか?」
俺はフィオラの言葉を切った。
「…なに?それは一体どういう…」
フィオラの声が若干震えた。
「その島で5年もいたんだ。アイツらが何かしたんじゃないなら説明ができない!」
レイピアが落ちる音がした。フィオラも俺と同じく複雑な気持ちになったようだ。
「今はスキュラを捕えることが最優先です。」
イヘジンはフィオラと違って動揺しない。まさか、知っていたのか?
そういえば昨日川辺でチラシを拾ったとか言ってたな…
「今怪物が問題か?最初から俺たちは騙されてたんだよ。アイツらの掌の上で弄ばれるのもお前は運命だって受け入れるつもりなのか?」
「おやめください!私が好きでこんなことをしていると思いますか?」
運命とか言わなきゃよかったのに。怒らせてしまった。
「この都市を守ることが先です。今も人々は死んでいるんですよ!」
イヘジンはそう言いながら弓を俺に向けた。弓弦が緩いから本当に打つつもりはないのだろう。
「やめて!」
エヴァが叫びながら弓を持ったイヘジンに向かって手を伸ばす。一体何を…?
いきなり弓が粉々になった。な…なんだ?イヘジンも呆然と血が流れる自分の手を見ている。
騒ぎを感じたのか向こうからジャッキーとアイソルが走ってくるのが見える。クソ!こんなことになるなんて…
「おっと、非常状態ですね。」
何処からか空き缶が飛んできて、そこから煙が出てくる。
そしてその煙の中から見えてくるのは黄色い髪と見慣れたサングラスだった。