ブラサバ
Apocalypse-4-


俺たちは湖に向かった。湖に近付くと遠くにテレビで見た、見慣れた建物たちが見える。
有名な遊園地、高いタワー、そして湖を囲む散策路…本当にソウルだ。
「私たちだけ知っておきましょう。余計に疑われますから。」
イヘジンは湖に視線を置いたまま小声で言った。俺も芝生を見る振りをした。
「お前は気にならないのか?家族や友達がどう過ごしているのか。」
「…だけど、今はソウルを守るのが最優先です。」
イヘジンは俺を通り過ぎてフィオラのところに行った。
アイツは大人過ぎて話にならない。俺がソウル出身だったら今すぐ抜け出して行っただろうに…
ため息をしながら視線を逸らすと遠くの端から人が歩いて来るのが見えた。
誰だ?実験体ではなさそうだけど…しかし、おかしい。歩きは不安定だし、なんか血も流れているみたいだ。
「おい、アイソル。あっちに誰かいるぞ。」
「…説明通りだな。あれがあの『スキュラ』だ。」